こんにちは!
千葉建設業許可サポートの行政書士村上秀明です!
建設業許可コラムでは、建設業許可についてもう少し詳しく知りたいという方に向けて、毎回テーマを決めてお話させていただきます。
今回は、『建設業における社会保険未加入対策について(後半)』です。
経営事項審査における減点幅の拡大
経営事項審査とは、建設業者が公共工事の入札をする際に求められる3つの柱、①経営事項審査、②建設業許可と決算変更届、③入札参加資格申請のうちのひとつです。
経営事項審査は、建設業者の決算書に基づいて経営状況評点を算出する「経営状況分析申請」と、建設業者の経営規模や技術力、社会性などの評価を行う「経営規模等評価申請」の2つの段階で評価されますが、後半の「経営規模等評価申請」において社会保険未加入対策が講じられています。
こちらは、従来から評点として算出する際に、未加入に対する減点要因は存在していましたが、平成24年7月より「健康保険および厚生年金保険」という1つの評価項目であったところを2つに分けたうえで、未加入についてそれぞれ減点対象となりました。
また、減点幅も大きくなり、事実上、社会保険未加入の建設業者は経営事項審査において排除されてしまうほどの影響をもつようになりました。
言いかえれば、社会保険未加入であることは、公共工事の入札参加資格がないに等しいということを意味しています。
元請業者を通じた下請業者への指導
前回、元請業者→1次下請業者→2次下請業者・・・と進むにつれて、社会保険の加入率が低下するというお話をさせていただきました。
したがって、より直接的には下請業者に対して何らかの指導を行うことが考えられるのですが、これは、すでに法的に義務としているところ、その効果があまり宜しくない、というのが実情ですから、何らかの別の方法が求められます。
このひとつが、元請業者を通じた下請け業者への指導、ということになります。
「社会保険加入について下請業者を指導できていますか?」と、元請業者に確認するというものです。
元請業者≒特定建設業者には、施工体制台帳の作成が義務付けられます。
これは公共工事であるとか、民間工事であるとかの区別はありません。
(入札契約適正化法の適用対象となる公共工事は、発注者への施工体制台帳の写しの提出も義務付けられています。)
この施工体制台帳には、台帳を作成する元請業者(作成特定建設業者)について健康保険等の加入状況をもちろん記載しますが、「下請負人に関する事項」として、同様に健康保険等の加入状況を記載することになっています。
この動きによって、元請業者は次のような行動に出ることになります。
a.下請業者選定の際に、社会保険の加入状況を考慮に入れる、もしくは未加入業者を排除する。
b.社会保険未加入の技術者や従業員を現場に立ち入らせない
c.下請契約に社会保険加入条項を加え、違反業者には取引停止などのペナルティを課す。
もちろん、これによって社会保険未加入の業者がなくなるわけでなく、元請業者を介さない業務を請け負う限り、社会保険未加入の業者が存在し続けることにはなりますが、事業の存続を考慮に入れると、多くの業者は何らかの形で元請業者と業務上の関係をもたないわけにはいきませんので、一定の効果が期待されるというわけです。
社会保険未加入に対する行政処分
最後に、行政処分についてみていきます。
新規許可や更新時に加入の指導が行われることはすでに述べました。
これに応じないとき、社会保険担当部局による強制適用や強制徴収へと進むわけです。
この過程で、対応や情状が悪質と判断されると、懲役や罰金という刑事罰に発展する可能性があります。
そして、この社会保険関係の法令に違反したことで懲役や罰金刑を受けた場合、建設業の許可行政庁(国土交通大臣/都道府県知事)による行政処分の対象となります。
⇒役員または社員が懲役刑に処せられた場合は営業停止7日以上。
⇒懲役刑以外の刑に処せられた場合は営業停止3日以上。
⇒社会保険担当部局による立ち入り検査を正当な理由なく忌避した場合は指示処分。
以上で、2回に渡った「建設業における社会保険未加入対策について」を終わります。
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