第4回 建設業における下請保護について(中編)

こんにちは!
千葉建設業許可サポートの行政書士村上秀明です!

建設業許可コラムでは、建設業許可についてもう少し詳しく知りたいという方に向けて、毎回テーマを決めてお話させていただきます。
今回は、『建設業における下請保護について(中編)』です。

見積条件の提示

建設業法第20条に根拠のあるところですが、請負契約を締結する際に、工事内容に応じ、工事の種別ごとに材料費、労務費その他の経費の内訳を明らかにして、建設工事の見積もりを行う努力義務を負います。
下請業者側がこの見積もりを行いますが、その前提となる条件を元請業者が提示する必要がありますし、大きな工事であれば一定期間の見積もりに要する期間を設定する必要もあります。

書面による契約の締結

第19条に根拠のあるところです。
14の項目について書面で契約をするよう、請負契約に求める内容です。
これは、口約束では後日紛争になったときに証拠が残っておらず、思わぬふり駅に繋がる恐れがあることが大きな要因です。
余談ですが、経営事項審査や建設業新規許可を受ける際、経営管理責任者の変更を行う際の実態確認または実績確認の資料にもなりますので、その意味でも契約書面の作成は実質的に望まれるところです。

不当に低い請負代金の禁止

第19条の3に根拠のあるところです。

注文者は自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請け負う代金の額とする請負契約を締結してはならないとされます。

指値発注時の留意点

前述の不当に低い請負代金の禁止とも関連しますが、元請業者が一方的に決定した請負代金の額を提示し、受注するか否かという契約の締結方法は不適当とされます。元請業者が金額を提示すること自体に何の問題もありませんが、積算根拠を明らかにし、下請業者との間で十分な協議を行うことが求められます。

不当な使用材料等の購入強制の禁止

第19条の4に根拠のあるところです。
請負契約の締結後、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事に使用する資材もしくは機械器具またはこれらの購入先を指定し、これを請負人に購入させて、その利益を害してはいけないとされます。
下請業者が不当な手段で原材料費を抑えることは許されませんが、合理的な手段によって抑えることは下請業者の企業努力であり収益機会でもあります。
これを、不当に自己の取引上の立場を利用し、その機会を奪うことは禁じられるということです。

一方的なやり直し工事の禁止

下請業者の責任のないところで工事の内容が変更になったり、やり直しが求められるケースはあります。
このようなケースで、元請業者が下請業者に対し、無償でやり直しを求めることは禁じられます。
やり直しが必要な場合は、適正に変更契約などを締結のうえ、適正な対価である追加請負代金を支払って工事を発注する必要があります。

工期変更時の留意点

前述の一方的なやり直し工事の禁止とも関連しますが、工事の内容自体に変更はなくとも、下請業者の責任のないところで工事が一旦ストップするなど、工期変更を原因とした費用の増加は発生することがあります。
このように、下請業者に責任のない工期変更を理由として発生した費用の増加分を下請業者に負担させることは禁じられます。

赤伝処理の留意点

元請業者と下請業者の間では、請負代金以外に支払手数料や産業廃棄物の処理費用など、いくつかの支払いがお互いに対して発生します。
この反対方向の支払いを相殺すること自体に問題はありませんが、そもそも相殺することを元請業者と下請業者の間で合意しておかなければなりません。
合意のない状態で、元請業者から一方的に相殺を行うことはできませんし、また取引上の地位を利用して、不当にその合意をしておくこともまた禁じられます。

以上で、建設業法の請負契約に関して元請業者が下請業者に対して負う義務についてみました。
次回、元請業者が特定建設業者にまでなっている場合の、特別の義務についてみていきます。
一般建設業許可の範囲内の元請業者と異なり、特定建設業許可の元請業者はより多くの下請業者を使い、そして高額な下請代金を支払う取引になりますので、下請業者保護の観点から、より重い責任や義務が課されています。
主に金銭支払い状況についてのことや、台帳管理などによって総合的な管理体制が求められることが規定されています。

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