こんにちは!
千葉建設業許可サポートの行政書士村上秀明です!
建設業許可コラムでは、建設業許可についてもう少し詳しく知りたいという方に向けて、毎回テーマを決めてお話させていただきます。
今回は、『建設業における下請保護について(後編)』です。
前回、以下のような点について、確認しました。
- 見積条件の提示
- 書面による契約の締結
- 不当に低い請負代金の禁止
- 指値発注時の留意点
- 不当な使用材料等の購入強制の禁止
- 一方的なやり直し工事の禁止
- 工期変更時の留意点
- 赤伝処理の留意点
今回は、元請業者が特定建設業者にまでなっている場合の、特別の義務についてみていきます。
一般建設業許可の範囲内の元請業者と異なり、特定建設業許可の元請業者はより多くの下請業者を使い、そして高額な下請代金を支払う取引になりますので、下請業者保護の観点から、より重い責任や義務が課されています。
主に金銭支払い状況についてのことや、台帳管理などによって総合的な管理体制が求められることが規定されています。
すみやかな下請代金支払の義務
建設業法第24条の3に規定されるところですが、まずもって元請業者には下請業者に対する速やかな支払い義務が定められています。
出来形部分に対する支払いや工事完成に対する支払いを受けると、下請業者が得る部分について、当該支払いを受けた日の1ヵ月以内でかつ可能な限り短い期間内に支払う義務を負っています。
また、さらに前受金を受けた場合には資材の購入や労働者募集に必要な資金として下請業者に前払金を支払うよう、配慮する義務も負っています。
そして、この元請業者が特定建設業者となる場合には、元請業者が発注者等から支払いを受けたかどうかにかかわりなく、工事完了などの日から50日以内に、下請業者に対して支払う義務を負います。
特定建設業許可を受けたものともなれば、支払いを受けていないことを理由として下請業者に対し支払いを留保することを認めないという趣旨です。
長期手形の交付禁止
特定建設業許可を受けた元請業者においては、長期の手形を交付することもまた禁じられます。
一般に支払手形はその支払期日までの期間が長ければ長いほど、振出人(支払人)の信用状態も変動する可能性を考えなければなりませんので、銀行など金融機関では手形割引に応じないケースもあります。
このような手形で支払いを受けた下請業者は、割引を受けられない場合や大きな手数料負担を受け入れて割引を受ける場合など、相当の負担を強いられることになります。
しかし、下請業者においては本来的に潤沢な資金や体力を有しているとは限りませんので、労働者に対する賃金の支払いや事業の維持に支障をきたす恐れがあります。
このため、特定建設業許可を受けた元請業者に対して、長期手形の交付そのものを禁じています。
一般に長期とは支払期日までの期間が120日以上を指します。
除外規定について
ところで、これら下請保護規定には例外があります。
いずれも、金銭的に安定していない下請業者を想定しているので、一定以上の体力のある下請業者を保護の対象にすることで、過度の負担を元請業者側にかけてしまうことになり、かえって元請業者の阻害要因ともなりえるからです。
したがって、これらの下請業者保護の規定が適用されるのは、資本金4,000万円未満の建設業者とされています。
また、資本金が4000万円未満であっても、自身が特定建設業許可を取得したうえで下請け関係に入っている場合の下請業者も、当然この保護の対象からは除外されます。
施工体制台帳の作成
元請業者が、建築一式工事で4,500万円以上、その他の工事で3,000万円以上の下請工事を総額で発注するような工事においては、元請業者(特定建設業許可)に対して施工体制台帳の作成が義務付けられます(作成特定建設ぎょうしゃといいます。)。
法24条の7に定められ、施工体系図も定められます。
これを工事現場ごとに備え置く必要があります。
ここには以下のような事項が記載されます。
1.作成特定建設業者に関する事項
2.作成特定建設業者が請け負った建設工事に関する事項
3.下請負人に関する事項
4.下請負人が請け負った建設工事に関する事項
この施工体制台帳は、公共工事の際に提出する必要があることから、公共工事のために作成するものと思われがちですが、民間工事でも作成が義務付けられていることに中が必要です。
以上で、建設業法の請負契約に関して元請業者が下請業者に対して負う義務についてみました。
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