建設業を営むことと建設業許可

『 建設業を営むには建設業許可が必要 』という原則

建設業を営むには、原則として建設業許可が必要です。
これは、建設業とそのお客様との関係からも求められることですし、建設業界が非常に多層的に形成されているという関係からも求められることです。

建設業とお客様との関係

建設業者がこの世に生み出すモノは、一般的には同じものはありません。
すべてが一品ずつ発注され、設計されるものであるからです。
お客様はあらかじめ完全なサンプルを確認したうえで発注することや設計することはできません。
そのうえ、ひとつひとつが非常に高価なものです。
そのため、たとえお客さまの想定していたものと異なるものが出来上がったとしても、お客様は請負契約について解除することが認められず、修補(修復)を求めるなどしかすることができません。
しかしながら、これではお客さまも不安で、建設業者に対し、建設工事を発注することができませんし、また建設業者も仕事がなくなります。
このため、建設業者に対し一定の厳格な要件をクリアすることを求め、その裏返しとしてお客さまに安心を与えることで、お客さまも建設工事を発注することができ、建設業者も仕事をいただけるという好循環につながるというわけです。

多層的な建設業界だからこそ

建設工事は一般に材料、資機材、施工方法、工程といった側面を総合的にマネジメントされなければなりません。
これらに地理的要因や気象条件が加わり、さらに労働集約型産業である側面も加わると、そのマネジメントは大変能力が求められることになります。
これらの能力を有していることを確認できて初めて、建設業を営むことが許されるというわけです。

軽微な工事が例外として認められる

上記のような事柄は、建設業許可が建設業界やお客さまにとって有用であるという証でもあるのですが、一方で弊害も生み出します。
建設業許可という仕組みを重視するあまり、すべての建設業を営む者に対して画一的に要件のクリアを求めると、小規模な経営を行う建設業者が成立しないということになります。
したがって、一定規模以下の「軽微な工事」を行う建設業者には建設業許可を取得することを求めていません。